ひっそりと佇む絵に魅せられて・・・
フィレンツェのウフィッツィ美術館の隣にヴェッキオ宮殿という建物があります。
有名なウフィッツィ美術館が光だとすると、ヴェッキオ宮殿の美術館は影のような存在。

そのためこの美術館を周る観光客は少なく、私が入っていった時も、鑑賞している人々の数はまばらでした。
そのお陰でじっくりゆっくり鑑賞することができましたが。

ここは美術館というよりも、大広間の壁や天井に絵が飾られているような感じの空間でした。
天井一杯に描かれた絵も圧巻でしたが、私の目を捉えて離さなかった一枚の絵があります。

『アンドレア・デル・サルト(Andrea del Sarto)』の“聖母子画(La vergine col Figlio)”

この絵画を見た途端、涙が突然溢れだしました。

マリアの顔の表情がとても柔らかく、子供への愛情に溢れています。
ほとんど人が通らず、目を留めていく人も少なく、ひっそりとたたずむ絵。

この絵からしばらく離れる事が出来ず、1 時間以上も独り占めしてしまいました。

彼の作品の中では、ウフィッツィに飾られている『アルピエの聖母』が有名ですが、
その作品の美しさもさることながら、私はこちらの柔らかい作品の方が印象に残っています。

その後、行きつけの美術用具店のおじさんと、
アンドレア・デル・サルトの絵の素晴らしさを共有、話が盛り上がりました。

「聖母子画の絵はウフィッツィに飾られるほど有名じゃないけど、彼はフィレンツェで重要な人物だよ。ツーリストは行かないみたいだけどね。」
と、おじさんは言います。

私も多くの人にこの絵を見てもらいたいと思います。
子供は親にとって特別な存在です。
きっと皆さんも、誰かの特別な存在なのです。



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